政治を人間による利益や価値を巡る闘争と捉えた場合、権力(Power)の位置や機能は極めて重要である。何故ならば権力政治の立場に立てば、権力を用いることによってのみ人間は社会を支配し、安定的な秩序や国家としての結束を維持することができるからである。権力とは「他者に対してその意志に反してでも従わせることのできる力」と一般的な定義を与えることができる。社会学者のウェーバーも「抵抗に逆らってでも自己意思を貫徹するあらゆる機会」と捉えており、より科学的な定義としてはダールが「他からの働きかけがなければBがしないであろうことを、AがBに行わせることが可能なとき、AはBに対して権力を持つ」という二者関係の権力を定義した。つまり権力とはどのような相手に対しても自らの意志を強制することができる政治的な能力を指す概念である。
そもそも統治するという行為には少なからず強制力が作用せざるをえない。経済に介入せず、社会を維持運営する上で最低限のことだけを行う政府を持つ国家を夜警国家と呼ぶことがあるが、夜警国家でさえ治安維持のための警察と国防のための軍備を保有している。つまり国家そのものが本来的に権力の集合体であり、政府はその権力の管理者であると見ることができる。しかし権力とはどうやって人々を支配し、なぜ発生したのかが問題となる。政治学の権力論は以下のようにこれらを説明する。
まず伝統的な政治学は支配と被支配の関係を収奪する側とされる側という関係として捉えた上で、権力は暴力によって構築されたものであると考える。これは権力の実体説に属する学説であり、マキアヴェリやマルクスは権力をこのように認識している。一方で例えばダールは権力そのものではなく、支配と被支配の関係性の中に権力が存在するという立場もあり、これは権力の関係説と呼ばれる学説である。両方の学説ともに権力という政治現象を説明しており、実体説は権力には権力資源が伴っていることを示している。
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